皮膚常在菌のバランスが美肌のためには重要
表皮で肌を健やかにキープするためにはたらく皮膚常在菌には、善玉菌、日和見菌、悪玉菌の3タイプがあり、これらの菌がお互いに影響を与えあいながら、バランスを維持しています。 そこで今回は、皮膚常在菌と肌状態の関係についてご紹介します。 皮膚常在菌と肌状態の関係 美肌菌とも呼ばれるほど美肌に維持するのに大切な、善玉菌の表皮ブドウ球菌が少なくなると、悪玉菌の黄色ブドウ球菌が活躍してしまいます。 資生堂が、健康な肌状態の41名の頬から皮膚常在菌を採取した後、DNAを抽出して、16S配列解析法で皮膚常在菌叢の解析を行いました。その結果、表皮ブドウ球菌の割合が高いほど、肌の水分量も高いことがわかりました。 また、健康な肌状態の36名の額から採取した皮膚上細菌叢を、同様の方法で解析した結果、表皮ブドウ球菌の割合が高いほど、肌の赤みは低くなることがわかりました。 さらに、健康な肌状態の人の中から、乳酸による刺激に対する感受性を指標に選ばれた敏感肌と非敏感肌、各22名の頬の皮膚常在細菌叢を同様の方法で解析すると、敏感肌の人は非敏感肌の人と比べて、肌の菌叢の多様性が有意に低く、アクネ菌に対して表皮ブドウ球菌の割合も低いことがわかりました。 この結果からも分かるように、肌表面に存在する表皮ブドウ球菌が少ないと、水分保持量も少なくなるため乾燥肌の原因となります。また、敏感肌の人は皮膚常在菌叢の多様性が低く、表皮ブドウ球菌が少ないことから、肌が健康な状態を維持できていないということがわかりました。 善玉菌の表皮ブドウ球菌が、肌を外部刺激から守るためにはたらいているおかげで、さまざまな肌トラブルを防いでいます。だから、表皮ブドウ球菌がバランスよく存在していることが大切なのです。 表皮ブドウ球菌を守るエイジングケア 表皮にいる表皮ブドウ球菌は、クレンジングや洗顔の仕方やエイジングケア化粧品の影響を受けるので、皮膚常在菌を意識したエイジングケアが大切になります。 肌に負担がかかるクレンジングでは、セラミドや天然保湿因子などを落とし過ぎない、ジェル、クリーム、ミルクタイプの優しいクレンジング料を使いましょう。乾燥肌や敏感肌、インナードライ肌の方は、アミノ酸系界面活性剤などの乾燥肌・敏感肌向けのクレンジング料を使いましょう。 洗顔のポイントは、皮膚常在菌を洗い流すことがないように注意することです。だから、1日何回も洗顔したり、洗顔時に肌をこすり過ぎたりせず、刺激の強い洗顔料の使用は避けて、肌に負担をかけない優しい洗顔するようにしましょう。 また、肌の保湿が十分な状態は、皮膚常在菌がバランス良く整っているという証拠です。だから、エイジングケア化粧品を選ぶときは、保湿に重点を置いていて、刺激が少ないアイテムを選ぶことがポイントです。 化粧水では、ナールスゲンやプロテオグリカン配合のもの、美容液では、プロテオグリカンやセラミド配合のもの、保湿クリームでは、セラミドやシアバター、スクワランオイルなどが配合されたものがおすすめです。ほかにも、乳液や、フェイスマスク、美容オイルなども取り入れて、肌に充分潤いを与えることが大切です。 一方、アルコールや合成着色料、合成香料などは、皮膚常在菌のバランスを崩す成分なので避けましょう。保湿成分でもPGなどは濃度が高いと刺激があるので、肌トラブルを起こすことがあるので注意しましょう。 まとめ 表皮にいる数百種類の菌のバランスが良いときは、肌は健やかな状態ですが、バランスが崩れると、肌荒れや敏感肌などの肌悩みや肌トラブルを招きます。皮膚常在菌を意識したエイジングケアを行い、健やかな美肌を保ちましょう。
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